ひな人形の見方・選び方

おひな様は素材・仕立て・着付けによって価格にかなりの差が出ます。日常的にご覧になるお品ではないだけに、おひなさまのどこを見て選べば良いものか、なかなか難しいところがあるかとは思います。
それだけに、高級な素材・仕立てのものがある程度の値段になってしまうのは仕方のないことと思いますが、中には素材や仕立ての割に高価な商札のついているお品もあるかと思います。
当店ではお客様に十分納得したお買い物をして頂けますよう、ご来店の際にはお品についての説明をさせていただいておりますが、ここでいくつかの重要なポイントをご紹介しますので、ぜひお雛様選びの際の一助としてご活用頂ければ幸いです。

値段の差はどこで出るか

まず、メインとなるお人形が一番の要素となります。纏っている着物の素材には、最高級の正絹生地のものから化学繊維のものまで、様々な素材が使われています。纏っているお着物全てに正絹生地を使ったものもあれば、表に出る重要な部分のみ良い生地を使い、隠れる部分には安価な生地を使用することでお求めやすい価格になるように抑える場合もあります。

高級な生地を見極める際に一つだけ頭に入れておかれると良いことは、高価な素材になるほど渋く抑え気味の色・柄になり、安価なものほどキラキラした派手目の配色・柄になる傾向が見られることです。これは、素材本来の良さで見せられない分、色目や柄で見せるようになるためです。「正絹」「友禅」「帯地」等は、色具合や手の込んだ織りなどによって、美しさや高級感が溢れる高価な素材となります。素材の見分けはなかなか難しいので、手の込んだ織りか、色具合が渋く落ち着いた着物であるかをじっくりとご覧になって下さい。

次いで、お屏風でも価格に差が出ます。高級な塗りを施しているものや、手の込んだ刺繍で柄をつけたもの、職人の手描きによるものなどもあります。おひなさまの歌にも登場する「金の屏風」にも、金紙を使用したものから、金沢箔を使用したもの、更に金箔張りの上にコーティングを施したものまで、様々な種類があります。屏風はあくまで主役のお人形を引き立てる役ではありますが、同じ人形でも屏風が変わるとセットの雰囲気がガラッと変わることがあります。

雛人形の「お顔」

「人形は顔がいのち」というキャッチコピーもあるように、どんなに高級な衣裳のお人形でもお顔が気に入らないと、どこか納得のいかないまま長年お飾りすることにもなりかねませんので、とても大事です。
人形セットの作札に「○○作」と名前の出る、いわゆる「人形作家」「人形師」と呼ばれる職人は、人形の胴体部分のみを手がける職人であり、お顔は「頭師」という別の職人が手がけています。そのため、同じ人形作家の作品でも、取扱うお店によっては異なる頭師の違ったお顔を使用しています。様々な種類のお顔がありますので、是非気に入ったお顔のお人形をお選びになって下さい。

お姫さま 【仕立て】

人形の仕立てを見るには、お姫様の後ろの重ねをご覧になることが大切です。ここは、正面からご覧になる分には目に付かない部分になりますが、人形作家によって仕立てや素材に違いの出る一番のポイントとなります。お殿様の仕立て・着付けにはお姫様ほど差が出ることは少ないですが、生地が前面に大きく出るため、生地の織りや色合いをご覧になると宜しいでしょう。

重ね十二単衣(ひとえ)とは、唐衣(からぎぬ)・五衣(いつつぎぬ)・裳(も)の装いを総じて十二単衣と呼びます。重ねが十二枚で十二単衣と思いがちですが、それは間違いです。五衣の色や重ねには「五衣制」という制度があり、五枚と定められています。その重ねが前身頃・後身頃・衽(おくみ)というように仕立てをして丁寧に出来ているものや、ふき仕立てになっているものは最高級品とされています。

五衣(重ね)に使用されている素材は大切で、安い素材で出来ていますと長い間に型くずれをおこしてしまうこともあります。安い素材の重ねには型を保つため、スポンジやウレタンを中に入れているものがあります。良い素材を使用している重ねは、中にウレタンを入れなくてもきちんと型が保たれます。和紙で裏打ちをした高級品もありますので、よくご覧になることをおすすめ致します。

襟(エリ)の着付けは、五衣をいっぺんに重ねた着付けが正式な着付けとなります。五衣をいっぺんに着付ける時は、襟の幅を綺麗に等間隔になるようにして着せ付けるということになり、手間がかかります。細かな部分にはなりますが、高級品を謳う人形は正式な着付けであってほしいものです。

お殿さま 【仕立て】


作りにこだわりのお殿様は、後ろにもきちんと装飾品(石帯・魚袋)が付いています。

また、袴の裏の帯の作りにも違いが出ます。
通常見えない部分にはなりますが、そうした部分も手を抜かずに仕立てたお品は、手間を掛けた作りと言えるでしょう。

少し金額のはるお人形の仕立て

少し金額のはるお人形であれば、袖口もきちんとした仕立てであってほしいものです。袖口が大きく開いていたり左右対称になっていないものは、長く飾ると型崩れの心配があり、どこかだらしのない印象にもなってしまいがちです。

小道具を選ぶ

お殿様・お姫様の持つ小道具にも、作りに差があるものがあります。
せっかく高級な親王様をお求めになられても、小道具が良くないとがっかりする時がありますので、素材・重さをよくご覧になって下さい。

おひなさまが、皆様に届くまで

おひな様のセットは、一つのメーカーがその全てを作るということはありません。お人形・屏風・飾り台・お花・ぼんぼり・お道具、それぞれに製造メーカーがあります。お人形にしても、そのお顔と胴体部分は別の職人が手がけるものです。

人形問屋や大型店がセットとして揃えたお品を仕入れることによって、お店は個別に各製造メーカーから仕入れるよりも手間を省くことはできます。しかし、どうしても”ご商売”が間に入ってしまうことや、他店との差別化が難しくなってしまうことは否めません。

当店では上図のように、各製造メーカーより直接仕入た商品を当店独自でセットとして揃えたお品が多いため、かなり“良いものがお安く”なります。また、お客様のご要望に沿ってセットの組み換えもさせて頂くことが可能になっております。

人形業界におけるブランドとは

人形のブランドとは、テレビ等でおなじみの大型店の店名がブランドと思われている皆様が多いとは思いますが、それら大型店においても我々と同じく各メーカーから仕入れてセットを揃えているため、人形においてのブランドとは作家(人形師)の名前になります。

また、おひな様には定価というものがありません。それぞれの店が仕入れ価格から様々な経費や利益等を考え、その店自身で販売価格を決めていますので、同じおひな様でも、お店によって販売価格にかなりの差が出てしまいます。それゆえにお店選びは大切なことになりますので、必ず最低3店舗は廻っていただき、価格・品質を比較することをおすすめ致します。その際、おひな様の素材・仕立て・着付けを見るためにお店の人にお姫様を手にとってもらい、それらがどの様になっているか、きちんと説明を受けることが重要です。

宣伝で「製造直販・直売」などの文字を目にしますが、おひな様は、お顔を作る『頭師』、着物の仕立て・着付けをする『人形師』、お屏風・お嫁入り道具・桜橘を作る『道具師』と、それぞれの名匠の工房の集大成が一つのおひな様飾りになります。従いまして「製造直販・直売」などの宣伝は実際にはあり得ないことです。

また、「通常価格」「メーカー希望小売価格」といった値段から5割引きなど、あまりに大幅な割引を謳う宣伝にも注意が必要です。おひな様の値段は各お店や問屋が仕入れや諸経費などを勘定した上で決定しますので、割引率に惑わされず、このお品はいくらになります、といった最終値段で比較することが大切です。